ビジネスプロセスのモデリングは一見簡単そうに見えて
最も難しいモデリング作業だと私は思っています。
ビジネスエキスパート(顧客・ユーザ)にヒアリングを行い、
業務内容を引き出すことはもちろんのこと、
収集した内容を整理し、モデルとして表現した上で
その結果をビジネスエキスパートに確認してもらわなければなりません。
ビジネスエキスパートは情報システムのプロでない場合も多く、
「誰が見ても理解できるモデル」として表現できなければなりません。
このためには、用語の標準化、1つ1つのアクションの粒度を合わせる
といったさまざまなコツやテクニックが必要になりますが、
これらは知識ではなくモデリングを経験して身に付いていくものです。
経験で身についていくさまざまなコツやテクニックは
いいお手本のモデルを見ることで早く吸収していくことができますが
一般的なモデリングの書籍に掲載されたモデルは実開発のモデルに比べると
かなり簡略化されており、それほど参考にはなりませんし、
かといって機密保持の関係上、実開発で作成されたモデルは
公開できないことがほとんどですので、プロジェクトに参加しないと、
なかなか本格的な内容のモデルを見ることはできません。
そこでご紹介したいのが書籍「電子カルテと業務革新
~医療情報システム構築における業務フローモデルの活用~」です。
この書籍は2003年・2004年度の厚生労働科学研究(医療技術評価総合研究事業)
「電子カルテ導入における標準的業務フローモデルに関する研究」の成果がまとめられたもので、
弊社はモデラーの立場でこのプロジェクトに参加しています。
内容は、ある中規模病院でヒアリングを行い、ビジネスプロセスを整理したもので、
数十個のビジネスプロセスが掲載されているだけでなく、
AsIsモデルからToBeモデルを導き出す方法論の解説もしています。
ビジネスプロセスモデリングのお手本として活用できると思いますので
ぜひ参考にされてはいかがでしょうか?
ちなみにちょっと値段は高めですが、UMLツール(パターンウィーバー)が
付属していますのでお得感はあると思います。
http://www.tech-arts.co.jp/recommendation.html
テクニカルデプト 橋本 大輔