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2006年05月30日

オフショア開発とモデリング

先日、中国でオフショア開発の現場を視察する機会がありました。
視察した会社の売り上げの多くは日本から受注するシステム開発であり、
会社の中では当たり前のように日本語が多く飛び交っていました。
(使っているマシンのOSも日本語ですし、メールのやり取りも日本語でした)

中国でのオフショア開発はかなり盛んで
今のところ中国の売り手市場ではありますが、
中国国内ではどんどん新しい会社が起業しており、
開発会社間での競争は非常に激しいようです。
視察した会社は、納期や品質へ非常に強いこだわりを持っており、
こういった部分で他社と競争していくと言っていました。

中国国内での競争が激しくなっていくと、
当然成果物の品質は上がっていきますので、
ますます日本の開発案件が中国に流れていきそうです。

一般的なオフショア開発における日本側の役割は
仕様をしっかり整理して中国側に伝えることです。
しかし、従来の文章中心の設計書では、あいまいな日本語の記述が
多くなってしまい、中国側にうまく意図が伝わらないことが多いようです。
このため、オフショア開発でもUMLを用いたモデリングが注目されています。
UMLで明確な設計書を記述し、しっかりとプロジェクトをコントロールできれば
成功するオフショア開発が見えてくるのではないかと思います。


                         テクニカルデプト  橋本 大輔

2006年05月17日

ますます注目される「モデリング」

ここ最近さまざまな分野で「モデリング」が注目されているように思います。
例えば、SOX法(サーベンス・オクスリー法)では業務の可視化が必要不可欠ですし、
SOA(サービス指向アーキテクチャ)によるシステム開発でも、
ビジネスプロセスモデリングが非常に(一番?)重要なポイントとなっています。
(モデリング無しのSOAなんて絶対絶対ありえません)

各ドメインの標準仕様でもモデリングがキーワードになっているようです。
例えば、医療分野における標準仕様であるHL7(Health Level7)では、
最新版(Ver3)のコアとなる仕様にRIM(Reference Information Model)という
参照モデルが用意されていますが、これはUMLのクラス図です。
また、診療情報交換用のメッセージ設計にはHDF(HL7 Development Framework)という
RUPベースの方法論が規定されています。

EDIの標準であるebXMLでも、UMM(UN/CEFACTモデリング方法論)で作成された
BRS(業務要求仕様)なしでは、「標準」のプロセスやデータとして認められません。
(モデルによる裏づけがないと「標準」として認められないということ)

以前から、UMLやモデリングは、一部で(特にJavaなどOOベースのシステム開発で)
注目されてはいましたが、必須の技術としてまでは認識されていなかったので、
ここ最近の動きは1モデラーとして非常にうれしいですね。


                         テクニカルデプト  橋本 大輔

2006年05月10日

マーチン・ファウラーセミナーへの期待

今回も宣伝です(^^;
今月末に弊社では、UMLやパターン、アジャイル開発などの分野で大家である
ThoughtWorks社のマーチン・ファウラー氏を招き、セミナーを開催します。

このセミナーではSOAとオフショアがキーワードになっており、
ファウラーの書籍「Patterns of Enterprise Application Architecture」
で紹介されたパターンとSOAがリンクした話が聞けるで私としてはこれが一番楽しみです。
それ以外にも、ThoughtWorks社がオフショア開発をどう考え、どう実践しているのか、
といった内容にも期待できます。

パターンウィーバーのサポートユーザですと
特別価格で申し込めるようですので、この際ツールを入手しつつ
講演を聞く、というのもいいのではないでしょうか(^^;

「マーチン・ファウラー来日記念  ITトレンドセミナー」
 ~SOAからオフショアまでIT業界の最新動向を探る~
テーマ:SOAとオフショア開発 (UML、アジャイルも含む)
会期:2006年5月30日(火)
会場:JA国際会議場
主催:Thought Works, Inc. 株式会社テクノロジックアート      
http://www.tech-arts.co.jp/xp/xp_agileseminar/2006.html


                         テクニカルデプト  橋本 大輔

2006年05月02日

スティーブ・メラーとの対談

昨日、某雑誌の企画で、Executable UMLの生みの親として
有名なスティーブ・メラー氏と対談を行った。
メラー氏とは、UMLの前からの付き合いなので、すでに10年以上20年近くになる。
対談では、MDA、Executable UML、UML2.0、MOFと
多岐にわたる技術的な内容で、とても充実となった。
メラー氏は、これらの技術をわかりやすく説明してくれたので、
実際の記事を見るのが楽しみだ。

ここに話の内容を書いてしまうと、雑誌が売れなくなってしまうので、
あまり書けないが、ひとつだけ紹介する。
MDAではモデル変換をTransformと呼んでいる。
Executable UMLではTranslation。このTranslationは、
モデルからコードに変換(生成)することで、そのコードは100%実行できる。
これは、UML以前からシュレアー/メラー法として、彼が実践してきたことである。
Translationをめぐってのランボー氏とのバトルは当時、とても注目されていたが、
今、振り返ると、メラー氏の言っていたことが正しかったのではないかという、個人的には思う。

Transformとは、UMLでモデル間の変換のことを言っている。
例えば、PIMレベルのUMLモデルからPSMレベルのUMLモデルに変換することを
Transformと呼ぶ。これらの日本語訳は難しい。
Translationを翻訳と訳したりするが、私は好きではない。
そうかといって、変換とすると、convertと間違われる。用語を確定するのは難しい。
それでは、某雑誌のインタビュー記事を楽しみにしてください。

                                  長瀬 嘉秀